既存マンション274区画すべてにEV充電設備を導入!みんなで話し合って実現した持続可能なマンションの未来

2025年8月1日

マンションEV充電導入の合意形成:「8割反対」から全区画設置を実現した行政も注目する住民主体の話し合いプロセスと、受益者負担の仕組み

この記事でわかること

  • 「8割反対」から「賛成多数」への転換を実現した、住民目線の合意形成プロセス
  • 既存マンションでも実現可能な、段階的な情報共有と話し合いの仕組み
  • 東京都環境局・経済産業省も注目する、マンションEV充電導入のモデルケース
  • WeChargeが実現する「受益者負担」で住民全体が納得できる導入方法

 はじめに


マンションでのEV充電設備導入を検討する際、「住民の合意が得られるか」「費用負担はどうするか」といった課題に直面する管理組合は少なくありません。



今回は、東京都八王子市の既存マンション「グレーシアパーク八王子みなみ野」で、駐車場274区画すべてにEV充電設備を導入した事例をご紹介します。東京都環境局、経済産業省からも注目され、視察も行われた先進事例から、他のマンションでも参考にできる合意形成のポイントをお伝えします。


 物件概要


物件名 グレーシアパーク八王子みなみ野
種類 分譲マンション
築年月 2000年竣工
総戸数 225戸
駐車場 274区画
充電設備設置区画 全274区画 (全区画設置)
充電設備種類 EV充電コンセント (200V)
補助金活用 東京都補助金(補助率84%)

 導入のきっかけ:「8割反対」からのスタート


8年前は住民の8割が反対

今から8年前の2017年のアンケートでは、EV充電設備の必要性について8割の住民が反対でした。「まだ早い」「必要ない」という声が大半だったのです。


しかし、長期修繕委員会では「ゆくゆくは考えていくべき課題」として継続的に検討を続けました。転換点となったのは、東京都の政策や社会情勢の変化でした。

情報共有で変わった住民意識

  • 東京都の2030年目標:新車販売100%非ガソリン化
  • 新築マンションでの義務化:2025年4月から
  • 補助金制度:国や東京都の手厚い支援


こうした情報を年間を通じて住民に共有し続けた結果、2024年には68%がポジティブな意見に変化。「時代の流れを考えると必要」という理解が広がっていきました。


 みんなで話し合う仕組み:住民主体の合意形成


理事会をサポートする専門委員

グレーシアパーク八王子みなみ野では、理事経験者や専門知識を持つ住民が「専門委員会」を構成し、理事会をサポートしています。



「誰か一人がリーダーシップを取るのではなく、みんなで考えていく」という基本姿勢で、これまでも様々な課題に取り組んできました。

年間を通じた丁寧なプロセス

  1. 定期アンケートで住民の意向を把握
  2. 情報開示を月1〜2回の広報誌で実施
  3. 意見交換会で対話の機会を提供
  4. 総会議案として正式決定


「総会議案にする前に、アンケートで住民の意向を確認してから進める」という段階的なアプローチが成功の秘訣のようです。


 WeChargeを選んだ理由:住民全体のメリットを重視


複数社での比較検討

導入にあたり、管理組合は複数のEV充電サービス事業者を検討しました。最終的に2社での比較となり、コストだけでなく「マンション全体にとって最適なソリューション」を重視して選定しました。

決め手となったポイント

  1. 個別設置型:車を移動する必要がない快適性
  2. 管理組合資産:設備所有権による将来の選択肢確保
  3. 受益者負担の実現:使う人と使わない人の公平性
  4. 収益還元:設備利用料による新たな収入源の確保


WeChargeが提供する「使用者から適切な利用料をいただき、管理組合の収入とする仕組みで、住民全体にメリットがある」という点が評価されました。


 行政も注目するモデルケース


東京都環境局・経済産業省による視察

2025年7月16日、東京都環境局4名、経済産業省2名による現地視察が実施されました。


まず集会所でのヒアリングでは、長期修繕委員会の委員長・副委員長から導入経緯や合意形成プロセスについて詳しく説明。行政側からは導入時の課題や住民反応、補助金制度の活用状況など、様々な質問が飛び交い、熱心な議論が交わされました。


その後の現地視察では、増設されたキュービクル、複数のコンセントを一元管理するWeCharge Hub、そして実際のEV充電の実演が行われ、技術面での理解も深められました。


既存マンションでの全区画導入事例として、行政からも高い関心が寄せられており、今後のマンションEV充電普及の重要なモデルケースとして位置づけられています。


 住民の声:みんなで築いた「これからの住まい」


車を持たない住民からも理解

導入プロセスを振り返って最も印象的だったのは、車を持たない高齢の住民からも「未来のことを考えると必要だね」という理解が得られたことです。これは、住民が主体となり皆んなの住まいであるマンションのことを話しあってきたからこそ。そして、「自分の家にコンセントがあって便利だという感覚と同じ。駐車場で当たり前についているという環境にしたかった」という副委員長の言葉は、この取り組みの大切さを物語っています。

資産価値向上への期待

EV充電設備の導入は、単なる設備投資ではなく「これからの住まい」としてアップデートすることでした。それは、今EVを使わない住民にとっても、将来の選択肢を確保し、また資産価値向上につながる投資として捉えられています。


住民一人ひとりが「これからの住まいのあり方」を考え、みんなで話し合って実現した環境だからこそ、車の有無に関わらず多くの住民が納得できる結果となったのです。


 まとめ:他のマンションでも実現可能な取り組み


グレーシアパーク八王子みなみ野の事例から見えてくるポイントは:


  • 適切な情報共有で住民理解を深める
  • みんなで話し合うことを大切にする
  • 受益者負担の仕組みで公平性を確保
  • 補助金の有効活用で費用負担を軽減
  • 将来を見据えた投資判断の重要性


今回の事例が、マンションでのEV充電環境整備を検討されている管理組合の皆さまの参考になれば幸いです。WeChargeは、皆さまが快適なEVライフを実現できるよう、今後もサポートしていきます。

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