「EU、2035年エンジン車禁止撤回」のニュース。結局EVは来るの?来ないの?

2025年12月19日

「EU、2035年エンジン車禁止撤回」は本当?ニュースの中身と、マンション充電の重要性

この記事でわかること

  • 「EU、2035年エンジン車禁止撤回」ニュースの実際の中身とは
  • 90%削減でも、なぜ電気自動車が必要なのか(フォルクスワーゲンの具体例)
  • 規制緩和の背景から見えてくる、都市部・集合住宅の充電環境の重要性

 はじめに


最近、こんなニュースを目にした方も多いのではないでしょうか。


「EU、2035年のエンジン車禁止を事実上撤回へ」


このニュースを見て、「やっぱりEVってどうなんだろう」「本当に普及するのかな」と、不安になった方もいらっしゃるかもしれません。



今回の記事では、このニュースが実際に何を意味しているのか、そしてなぜ“充電環境”、とりわけ都市部・集合住宅での充電が重要なテーマとして浮かび上がってくるのかを、順を追って整理していきます。


 実際に何が変わったのか 


まず、事実を整理してみましょう。


EUではもともと、「2035年以降、メーカーが販売する新車の平均CO2排出量を2021年比で100%削減しなさい」というルールが定められていました。これは、新車フリート平均のCO2排出量を実質0g/kmにすることを意味し、結果として「エンジン車禁止」と報道されてきました。


今回、欧州委員会が示した提案は、この100%削減を90%削減に調整するというものです。残りの排出については、一定の条件のもとで別の手段による補償を認める方向性が示されています。


参考:

https://www.euronews.com/my-europe/2025/12/16/eu-carmakers-to-comply-with-90-emissions-reduction-by-2035-as-full-combustion-engine-ban-s


重要なのは、「ルールを撤回した」のではなく、ルールの形を現実に合わせて調整しようとしている段階(提案)だという点です。


 90%削減って、どのくらい?


100%が90%に。数字だけを見ると、大きく緩和されたように感じるかもしれません。


しかし、具体的な数字で考えてみると、その印象は変わります。


たとえばフォルクスワーゲンの場合、2021年時点で販売した新車の平均CO2排出量は118.5g/kmでした。90%削減ということは、これを11.85g/kmまで下げる必要があります。


一般的なハイブリッド車でも、CO2排出量はおおよそ70〜110g/km程度あります。つまり、90%削減を達成するには、販売する車の大半をZEV(ゼロエミッション車:⾛⾏時にCO2等の排ガスを出さない⾃動⾞のこと)にしなければ、計算が合いません。


「エンジン車が復活する」というよりは、「ごく一部に調整の余地が生まれた」と表現する方が、実態に近いと言えるでしょう。


参考:

https://www.volkswagen-group.com/en/press-releases/volkswagen-group-drives-forward-decarbonization-and-overfulfils-the-eus-co2-fleet-target-17169

https://www.drivingelectric.com/toyota/corolla/mpg




 なぜ緩和されたのか


ここが、今回のニュースでもっとも重要なポイントです。


自動車メーカーが規制緩和を求めた理由は、「EVは必要ない」からではありません。むしろ、多くのメーカーはEVへの移行自体は前提条件として受け止めています。


そのうえで問題になったのが、リアルな生活環境とのギャップです。


特に大きな課題として挙げられているのが、充電インフラの整備状況です。ここで言う充電インフラとは、高速道路沿いの急速充電網のことではありません。急速充電については、EUではすでに計画的な整備が進められています。


むしろ焦点になっているのは、都市部・集合住宅における「自宅や職場での普通充電環境」です。実際、欧州委員会や欧州自動車工業会(ACEA)は、EV普及の最大のボトルネックとして、集合住宅における自宅充電環境の不足を繰り返し指摘しています。


ヨーロッパの都市部では、多くの人がマンションやアパートに住んでおり、専用の駐車場や電源を持たないケースも少なくありません。その結果、「EVに興味はあるけれど、毎日どこで充電すればいいのかわからない」という理由で、購入をためらう人が多く存在しています。


このほかにも、電力網や設備容量の制約、EVのコスト構造、地域ごとの普及スピードの差など、複数の要因が同時に重なっています。


メーカーが訴えたのは、「EVは無理だ」という話ではなく、「EVに向かう方向は正しいが、特に都市部・集合住宅の受け皿が追いついていない」という現実でした。


 日本のマンションで考えると


こうした計画的なインフラ導入には、専門的な知見が必要です。WeChargeのようなマンション特化型サービスは、Dunskyレポートが示す課題を解決します。


  • 電力契約リスクの回避: WeChargeが電力会社と直接契約を結ぶため、マンション共用部の電気代に影響を与えません。


  • 公平な課金システム: EVEMSを活用し、充電した分だけを個人のアプリで自動精算。非EVユーザーに負担はかかりません。



  • 計画導入のサポート: 補助金の活用から、最適なインフラ設計(EV Readyなど)、管理組合での合意形成までをトータルで支援します。

 今のうちに備えておくという選択


EVの普及は、ある日突然一気に進むものではありません。ゆっくりと、しかし確実に進んでいきます。


だからといって「今すぐ全員がEVに乗り換えなければならない」と焦る必要はありません。一方で、マンションの充電インフラを整えておくことには、大きな意味があります。


WeChargeの充電設備は、各駐車区画への配線・配管と、電気を取り出すためのコンセントで構成されています。シンプルな設備だからこそ、故障が少なく、将来にわたって長く使い続けることができます。


これは「今EVに乗っている人のため」だけのものではありません。5年後、10年後に「次はEVにしようかな」と思ったとき、住まい側がそれを受け止められる状態になっているかどうかが重要なのです。


 補助金があるうちに


国や自治体の補助金制度を活用すれば、管理組合の費用負担を大幅に抑えて導入することができます。ただし、この補助金がいつまで続くかは分かりません。



「まだうちのマンションには早いかな」と感じる方もいるかもしれませんが、インフラ整備は検討から実現までに時間がかかります。補助金がある今は、実はちょうどよい検討タイミングとも言えます。


 まとめ


「EU、2035年エンジン車禁止撤回」というニュースは、実際には2021年比100%削減という目標が、90%削減に調整される提案が出たという話です。90%削減であっても、ほとんどの車をZEVにしなければ達成できない厳しい基準であることに変わりはありません。


そして、その背景には、都市部・集合住宅における充電環境の遅れという非常に現実的な課題があります。


EVが来るか来ないか、ではなく、「来たときに受け止められる準備ができているかどうか」


そんな視点で、マンションの充電環境を考えてみてはいかがでしょうか。WeChargeが、その準備をお手伝いします。

参考リンク